学生時代にスポーツをしていて、社会人になってもスポーツにかかわりたいとぼんやり考えている学…
【事例あり】分かるようで分からない、スポーツマーケティングを徹底解説
日頃スポーツをよく見る方の中で「スポーツマーケティング」の意味を知っている方は果たしてどれくらいいるでしょうか。
スポーツマーケティングとは一言でいえば、「スポーツが持つさまざまな価値を生かして行うマーケティング活動」です。
そんなスポーツマーケティングは
- スポーツそのもののマーケティング活動
- スポーツを使ったマーケティング活動
の2つに分けることができます。
当記事では、スポーツマーケティングの具体的事例をそれぞれ紹介しますのでぜひ最後までご覧ください。
スポーツそのもののマーケティング活動
ジャパン・プロフェッショナル・バスケットボールリーグ(Bリーグ)
スポーツマーケティング活動により大きな成果を出した事例として、2016年9月に野球、サッカーに続く第3の団体競技プロスポーツとして開幕したプロバスケットリーグ、通称B リーグがあります。
Bリーグの年度別営業売上&累計来場者数を示した上の表からわかるように、Bリーグはコロナ禍の影響を受けながらも開幕から順調に売上を伸ばしており、コロナの影響で減少した来場者数も、コロナ禍による入場制限が撤廃された昨シーズン(22-23シーズン)には開幕後最多の323万人を突破するなど順調な成長を見せています。
Bリーグが当面の目標として掲げた、営業売上500億円突破もそう遠くはないのではないでしょうか。
2023年夏にはワールドカップも開催され大きな盛り上がりを見せるなど、ますます市場規模を広げるBリーグの人気を支えているのは、卓越したスポーツマーケティング戦略にあります。
なぜBリーグはスポーツマーケティングに長けているのか、その理由を説明するにあたっては、Bリーグ開幕に至るまでの複雑な歴史を知っておかなければなりません。
Bリーグ誕生に至る歴史
1990年代 バスケブーム到来
伝説のスーパースター、マイケルジョーダンの活躍や、漫画「スラムダンク」の大ヒットを契機に日本にバスケブームが到来します。ブームは徐々に、日本国内にもNBAのような、バスケットボールのプロリーグを作ろうという機運の高まりをもたらすのです。
2001年 「JBLスーパーリーグ」誕生
プロリース創設を目指し、2001年に実業団チームの一部が集まり「JBLスーパーリーグ」が誕生します。しかし、このリーグの母体はあくまでそれまでの実業団リーグであり、所属選手も会社員であるケースが多く、完全なプロ化は達成できませんでした。
2005年 スーパーリーグの分裂、「BJリーグ」誕生
完全なプロ化を目指し、スーパーリーグに所属していた新潟アルビレックスと埼玉ブロンコスがリーグを脱退、新たに「bjリーグ」の結成を発表します。移籍騒動も相まって両リーグ間に亀裂が生まれてしまい、同時に独立した二つのリーグが存在する状態に陥ります。
2007年 「日本バスケットボールリーグ(新JBL)」誕生
スーパーリーグもプロ化を目指し、ホームタウン制度を強化する形で新たに「日本バスケットボールリーグ(JBL)」が誕生するも、両リーグ間の交流は全くない状態は依然として続きます。2008年には国際バスケットボール連盟(FIBA)から統合するよう要請される事態になります。
2013年「ナショナル・バスケットボール・リーグ(NBL)」誕生
新JBLは両リーグの統合を目指し、完全プロリーグ化を目指し新たに「ナショナル・バスケットボール・リーグ(NBL)」を発足させます。しかしここでも企業側の反発から完全プロ化はなされず、BJリーグとの交渉は平行線のまま終わり、千葉ジェッツのみが移籍し、ほぼ現状維持の状態で新リーグは開幕することになります。
2014年 日本バスケットボール界に国際活動禁止処分
そして泥沼状態から約10年が経過した2014年、FIBAから「1国2リーグ現状改善まで、全ての日本代表チームの国際試合の出場資格を停止する」と宣告されてしまいます。またFIBAはJリーグ発足時の初代チェアマンである川淵三郎氏を招へいし、改革チームを結成、直接介入に乗り出します。
2016年 Bリーグ誕生
幾度の話し合いを経て、2016年にやっと両リーグを統合する形でジャパン・プロフェッショナル・バスケットボールリーグ、通称「Bリーグ」が新たに発足しました。
Jリーグの発足・発展の立役者である川渕氏の「サッカー人脈」の活用により、ソフトバンクがトップパートナーになるなど、それまでバスケット業界にかかわってこなかった人材・技術がBリーグに集まったことでマーケティング戦略で強みを発揮し、目覚ましい発展を遂げていくことになります。
「デジタルマーケティング」の導入と推進
プロリーグ立ち上げにあたって、Bリーグ側が注目したのがバスケットボールというスポーツの特徴でした。
全世界で最も多い競技者人口4.5億人を誇るバスケは日本でもサッカーに次いで競技者人口65万人、競技経験者260万人と大きなポテンシャルを持っていました。特にバスケは他競技に比べても女性人気が高く、Bリーグでは『若者』『女性』をメインターゲットとし、施策を打つことにしました。そこで的確にターゲットにアプローチするため、世界最先端のスポーツビジネスモデルの取り組みであるデジタル・マーケティングの活用を推し進めていくのです。
そこで注目されたのが、若者、女性の間でテレビよりも影響力を持つ「スマートフォン」です。Bリーグはスポーツ4大収入である
- 放映権収入
- 入場料収入
- スポンサー収入
- グッズ収入
のすべてをスマートフォン一台で完結できる仕組みづくり、「スマホファースト」を押し進めました。
具体的には、チケット購入の簡略化を目的にチケットは公式チケット販売サービス「B.LEAGUEチケット」にて、スマホ上のWEBサイトから直販による電子チケット制を導入、トップパートナーであるソフトバンクの協力もあり権利買収を行い、地上波放送と並行したインターネット放送の開始、グッズ販売も現地だけでなくECサイトを活用したネット販売に力を入れました。
これらサービスのデジタル化を通して、あらゆる角度から顧客のビッグデータを貯蓄、さらに個人情報を統合して有効活用するため、Bリーグでは各チームの既存プラットフォームをまとめ、DMP(データ・マネジメント・プラットフォーム)の構築を進めています。実際に各チームの公式HPを見てみると、同じUIで作られたものになっています。
Bリーグはこれら顧客情報のデジタル化を通してコアファンの拡大に努める傍ら、ライトファン層の新規開拓のため、それまでバスケに興味がなかった人たちに向けた情報伝達・広報宣伝活動においてもSNSを積極的に用いて行っています。
X(旧ツイッター)ではバスケをあまり知らない人でも興味を持つような選手のスーパープレーの動画を中心に公開、インスタグラムでは女性をターゲットに選手のバスケ外での素顔などを投稿、ラインではクラブ側からの情報をダイレクトに届け、ユーザー顧客が欲しい情報にアクセスしやすい構造を作るなど使い分けています。
このように、Bリーグが発足当初から順調に市場規模拡大を達成できている要因として、顧客情報を正確に分析することでより顧客の特徴にあったユーザー施策を行うことができている点があげられるでしょう。
スポーツを使ったマーケティング活動
ユニクロ×テニス
スポーツの持つ価値を自社ブランドの成長につなげる企業としても有名なのが世界的アパレルブランドの「ユニクロ」です。
ユニクロは、世界のトップアスリートをグローバルブランドアンバサダーとして迎え、マーケティング戦略を推進しています。
特に力を入れているのがテニスで、ロジャー・フェデラー選手、錦織圭選手、国枝慎吾選手ら著名選手がユニクロのグローバルブランドアンバサダーを務めています。また個人だけでなく、日本テニス協会とも協賛契約を結び、ユニクロ全日本ジュニア選手権を主催するなどテニス界の発展に寄与しています。
特に錦織選手とユニクロの関係は10年以上続いており、「世界一のテニス選手」を目指す錦織選手と「世界No.1のグローバルブランド」を目指すユニクロの姿勢が重なった点が大きいそうです。ユニクロは世界で活躍する錦織選手への支援を通し、世界各地における地域社会との結びつき強化を目指しています。
また、ユニクロは錦織選手との意見交換を重ねて高機能ウェア開発に力を入れ、動きやすく汗をかいてもさらりとした着心地という特徴を持つ「ドライEX」を開発、スポーツウェアにもシェアを伸ばしています。
このように、スポーツの持つ力はイメージ戦略や新たな市場開拓に活用することができます。
まとめ
スポーツには言語、人種、性別の壁をこえて多くの人々の心を動かす魅力があります。
そんなスポーツはマーケティング活動と相性がよく、今後ますますその領域は広がっていくでしょう。
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