市場が激化するスポーツ放映権ビジネスを紹介!

市場が激化するスポーツ放映権ビジネスを紹介!

投稿日:2024年1月11日 更新日:2024年1月24日

コラム
スポーツビジネス関連

JリーグやBリーグなど、プロスポーツのリーグは存在はよく知られていると思います。しかし、これらのリーグではどのようなビジネスモデルによって収入を得ているのでしょうか。

リーグの売り上げは大きく「広告料収入」「入場料収入」「物販収入」「放映権収入」の4つに分けることができます。リーグは、これらの4つのビジネスモデルを構築することによって売り上げを得ています。

そこで今回は、近年、成長著しい「放映権収入」に焦点を当てて、放映権の説明と近年のスポーツビジネスを取りあげます。

放映権と放映権収入とは

はじめに、ご存じの方も多いかと思いますが、放映権と放映権料について説明します。

放映権は、メディアによる放送において、他者から借り受けたり配給されたりしたニュース素材や放送番組、スポーツ・イベントを独占的に放映できる権利のことを指します。また、放映権収入とは一般的に、放映する権利を売ることによって得た収入です。スポーツビジネスの観点からみると、放映権収入はプロスポーツリーグの大事な収入源の1つです。

放映権の管理

プロスポーツのビジネスにおいて、放映権収入が大事な収入源であることが分かったところで、それらの権利はどこの組織によってどのように管理されているのでしょうか。

放映権を管理する体制として大きく3つの体制があります。

①チームによる管理

例として日本のプロ野球が挙げられます。セントラル・リーグでは各球団が放映権を管理しています。また、パシフィック・リーグに関しては、地上波やBS・CSの放映権は各球団が保持しています。それぞれの地域で放送局の環境が異なるため、このようになっています。一方で、国内でのインターネット配信や海外でのテレビやインターネットへの映像配信等のパシフィックリーグマーケティング株式会社(以下PLM)設立以降に6球団でまとめて行うことが必要とされた権利については、PLMが管理、運営、販売などを行っています。なかには、PLMの管理する権利と、各球団が管理する権利とが混在する事業もあります。

②リーグによる一括管理

例としてJリーグやBリーグが挙げられます。これはリーグ側が一括して放映権の管理と販売を行い、各球団には販売額の一部が配分されます。

③リーグとチームの双方が管理

これはMLBが代表的なモデルとして挙げられます。MLBは全国放送や海外向け放映権に対しては、リーグが一括して販売し、各球団へ配分しています。これまでのJリーグやBリーグと異なるのは、各球団が地域局向けの放映権を所有し、販売している点です。

放送局以外の新たな売り手の登場

プロ野球や発足当初のJリーグのように、国民的娯楽としてスポーツ中継が楽しまれていた時代は、地上波でも多くの試合が放送されていました。スポーツ中継が高視聴率であった頃、中継の合間に流れるCMも高額な価格になっており、巨額な広告収入があったと考えられます。スポーツ中継は企業にとっても多くの視聴者に自社について知ってもらう機会であったと考えられます。その後、視聴率が低下し採算性も低下するにつれて、スポーツ中継の舞台はBSやCSの有料チャンネルへと移っていきました。

そうした状況の中、新たな売り手先が登場します。

新たなコンテンツ「OTT」

映像コンテンツの配信は、従来テレビによる視聴が一般的であったが、従来のテレビ視聴率の低下やインターネットの発達やスマートフォンの普及などにより、媒体が多様化しました。コロナ禍の影響もあり、スポーツの映像コンテンツでもインターネット配信がより一層存在感を強めています。

近年では、DAZNやPrime Video、ABEMAなどのオーバーザトップ(OTT)の普及が著しいと言えます。

巨額な放送権料

上記にあるような複数のOTTの台頭により、動画配信企業によるスポーツ以外も含めたコンテンツ獲得競争が過激化しています。特に近年では国内外ともに争奪戦となっているのがスポーツコンテンツです。

日本での動画配信をめぐる戦いはJリーグの放映権に見ることができます。Jリーグの放映権がスカパー!から英国に本社があるスポーツ動画配信大手のDAZNに移ったのは2017年です。スカパー!は2007年から10年間にわたるパートナーでしたが、それでもJリーグが配信先を変更しました。その理由は、「10年で2100億円」と言われる巨額の放送権料です。Jリーグの放送権料収入は、スカパー!時代の2016年は50億円でしたが、DAZNに移行した2017年では178億円と急増しました。その結果、巨額の放映権料の獲得により、Jリーグの収支が大幅に改善されました。さらに、各クラブへの分配金の増額へと繋がりました。クラブが金銭的な面で成長することで、健全な経営が可能となります。先述のように分配金の増加は、クラブの運営費を潤沢にし、外国人の選手の獲得やファンサービスが充実して試合内容やエンターテインメント性が向上します。それらによって、観客動員数が増加するという結果となります。そしてまた、クラブが金銭的に潤うことにつながるという好循環をDAZNへの移行によって生み出しました。

また、DAZNによる放映権ビジネスは継続されており、Jリーグとは2017年から10年間で約2100憶円という放映権契約を結んでいましたが、2023年三月に契約内容を見直しました。新たな契約内容は2023年から2033年までの11年間で約2395億円という条件で合意に達しました。

スポーツ組織による自前のOTTサービスの展開-D2C型のビジネス

また、近年ではリーグ等に代表されるスポーツ組織が、OTTプラットフォームを運営する事例も増加しています。日本ではPLMのパ・リーグTVが自前のOTTプラットフォームの例として挙げられます。海外に視線を向けてみると、NFL、NBA、MLB、NHLの4大スポーツリーグではそれぞれが自前のOTTプラットフォームを展開しています。チームやリーグの組織が自前のOTTプラットフォームを持つメリットは、ユーザーとのコミュニケーションを通して、ユーザーに関する多くの情報を獲得できる点です。獲得したデータをもとにパーソナライズされたサービスや広告の提供、グッズの販売などに活用することが可能です。

OOTサービスが乱立するアメリカの事情

アメリカはOTTサービスが乱立すると言われており、その理由として4大スポーツリーグのOTTサービスの展開とGAFAの一角であるAmazonが大きな影響力を示していることが考えられます。プレミアリーグやNFLの一部の放映権料を買い取る動きや、2021年にNHLに新規参入したシアトルを拠点とする新チームのホームアリーナ命名権を取得した点からもその動きをうかがうことができます。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

スポーツ業界は、今回取り上げた放映権だけでなく、その他のスポーツビジネスも日々変化しています。

インターンシップはスポーツビジネスをより近くから知ること、経験することのできる貴重な機会となっています。

スポーツ業界に興味のある方は、新たな知識を得るためにも是非一度インターンシップへの参加を検討してみてください。

本サイトでは、インターンシップやスポーツ業界に関するコラムを多数公開しています。ぜひそちらも併せてご覧ください。

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