【これだけ抑えれば大丈夫】スポーツ業界のトレンド2選

【これだけ抑えれば大丈夫】スポーツ業界のトレンド2選

投稿日:2023年9月28日 更新日:2023年9月28日

コラム
スポーツビジネス関連

突然ですが、皆さんはスポーツをトレンドという視点で見たことはありますか?トレンドとは時代の趨勢や流行という意味で、マーケティングやファッションの分野で頻繁に使われる言葉です。

普段は自分の好きな競技やチームの情報しか追わないという人が多く、スポーツ業界にもトレンドがあることを知っている人は多くありません。

そこで今回はスポーツ業界のトレンドを2個紹介します。この記事を読めば、今、スポーツ業界で起こっていることがわかります。さらに業界を俯瞰的に見ることで、自分の好きな競技以外にも興味関心を広げることが出来ます。ぜひ最後までご覧ください。

①アジアシフト

現在、顕著に表れている傾向の一つが「アジアシフト」です。「アジアシフト」とは、簡潔にまとめると、他地域からアジアへの投資やコンテンツの進出が進むということです。「アジアの時代」が到来しつつある背景には東アジア、とりわけ東南アジア地域での人口の急激な拡大があります。

アジアシフトの背景

日本や欧米の先進国が人口減少と少子高齢化に直面している一方で、アジア・アフリカの途上国では急激に人口が増加しており、2050年までは増加を続けると考えられています。

そんなアジアでは、人口爆発に伴って著しい経済発展も同時に起こっています。経済水準が徐々に向上し、富裕層が出現するとともにボリュームゾーンとなる中間層が急増しており、アジアは一つの巨大マーケットになっています。

そんな巨大マーケットをターゲットにして多くの業界でアジアへの進出が進んでおり、スポーツ業界も例外ではありません。バスケやサッカー、ラグビーなどが積極的にアジアマーケットの開拓を進めています。

アジアシフトの事例

「人口の爆発的増加によってマーケットが巨大化し、そこに他地域からスポーツというコンテンツが進出してきた」という理論はとても整合性のあるものに感じると思います。しかし具体的な事例が無いと、表面的な理解だけで終わってしまいます。そこで、ここではアジアシフトの事例をいくつかご紹介します。

ⅰ.アジアツアー(サッカー)

近年、パリサンジェルマンやバイエルンなどヨーロッパのビッグクラブが、シーズンオフである夏に世界ツアーを行うことが増えています。そして、非常に多くのツアーがアジアで開催されています。今年開催されたアジアツアーの概要(一部)を表にまとめてみました。

チーム名 場所 期間 備考
バイエルン(ドイツ) 日本、シンガポール 11日間 川崎、リヴァプールなどと対戦
マンチェスターシティ(イングランド) 日本、韓国 11日間 横浜Fマリノス、アトレティコマドリードなどと対戦
パリ・サン=ジェルマン(フランス) 日本、韓国 10日間 セレッソ大阪、アルナスルなどと計4試合実施

このように日本を中心にアジアの数カ国を10日ほどで回る超ハードスケジュールとなっています。さらに、これらのビッククラブが位置するヨーロッパからアジアまでは飛行機でも10時間以上かかり、コンディション面でも悪影響は避けられません。また、この時期のアジアは非常に高温多湿でオフシーズン中のトレーニングにはあまり適していません。

このようにいくつものデメリットがある中、毎年のようにヨーロッパの名門クラブがアジアツアーを実施しているという事実は、アジアマーケットの大きさを証明しています。

また、アジアツアーはただトレーニングマッチをこなしていく遠征ではありません。試合の間に様々なスポンサーイベントが行われたり、スペシャルな特典付きの観戦チケットを発売したりするなど、多様な角度からマーケットにリーチしています。

ⅱ.各種国際大会のアジア開催

【出典】FIBA.basketball

近年、各種スポーツの国際大会がアジアで開催されることが増えています。その一例として、8~9月に沖縄で開催され、日本代表がパリ五輪出場権を獲得するなど大きな盛り上がりを見せた「FIBA World Cup 2023」が挙げられます。この大会ですが、実は日本以外にフィリピンとインドネシアも開催地になっていたことをご存じでしょうか。

上述の二カ国は若年人口も多く、バスケ熱が非常に高い地域です。特にフィリピンはバスケットボールを国技としており、ナショナルチームの強化育成に力を入れています。

大きな盛り上がりを期待されて開幕したワールドカップは予想以上の盛況で、フィリピンのマニラで行われた、開幕戦(フィリピン vs ドミニカ共和国)は38,115人の来場者を記録し、FIBAワールドカップの観客動員数歴代最多を更新しました。

また、前回の「FIBA World Cup 2019」は中国で開催されており、今大会と合わせて2大会連続のアジア開催となります。参加国が24に拡大し、世界的な大会となった1986年以降、連続で同地域内で大会が開催されるのは初めてです。それほど、FIBAはアジアマーケットに興味関心を抱いていると言うことができます。

②オウンドメディアの充実

アジアシフトと並ぶもう一つのトレンドとして、オウンドメディアの充実が挙げられます。「オウンドメディア」とは企業が自社で保有するメディアのことを指します。本記事ではスポーツクラブ・チームが運営しているメディアを対象とします。

コロナ禍を追い風に

オウンドメディアが充実した背景に情報通信技術の発展があるのはもちろんのことですが、加えてコロナ禍による在宅時間の増加も大きな追い風となりました。2020年4月に緊急事態宣言が出され、不要不急の外出が制限されるようになってからは、無観客での試合実施や試合中止が続きました。

徐々に社会活動が再開されると、スポーツ界ではスタジアムやアリーナに来たくても来れないファン・サポーターのために、SNSを使ってコンテンツを発信する動きが活発になりました。そして現場にコロナ前の熱気が戻ってきた現在でも、オウンドメディアの進化はとどまるところを知りません。

以下では充実したオウンドメディアを保有しているチーム・クラブを2つ紹介します。

ⅰ.ホークスTV(福岡ソフトバンクホークス)

【出典】福岡ソフトバンクホークス

「ホークスのすべてが詰まった球団公式動画サービス」を掲げるホークスTVは2021年に開始したサービスです。ホークスTVの特徴はなんといっても圧倒的なコンテンツ量です。

まず、試合中継が非常に充実しています。リーグ戦だけではなく、オープン戦や交流戦、クライマックスシリーズまで、ホームビジター問わず全ての試合が見放題であるのに加えて、試合前練習の生配信やベンチカメラなど試合以外にも楽しめるコンテンツが多く含まれています。

また、ホークスTVでは2~4軍の試合も観戦することが出来ます。2軍の試合を中継している球団は他にもありますが、3,4軍の試合を配信している球団はホークスぐらいではないでしょうか。

さらに、試合配信以外にも各選手にフォーカスした企画動画が多数配信されており、試合以外での選手の姿を楽しむことが出来ます。

ⅱ.THUNDERS CLUB HOUSE(川崎ブレイブサンダース)

【出典】川崎ブレイブサンダース

「THUNDERS CLUB HOUSE」はBリーグの名門、川崎ブレイブサンダースが運営するオンラインサロンです。川崎はYOUTUBEをはじめとするSNSに非常に力を入れており、ソーシャルメディアの分野では他の追随を許さない確固とした地位を築いています。

そんな川崎が2020年に開設したこのオンラインサロンは、ファン・選手・スタッフ、つまりサンダースファミリー全員の試合外の拠点を作りたいという思いから誕生しました。

その内容は公開放送や選手からの生電話、選手のプライベート配信など、選手をより身近に感じることが出来るものとなっています。さらにTHUNDERS CLUB HOUSEでは他の会員と写真を共有したり、試合の感想を語り合ったりできるなど、ファン同士の交流の機会が多く設けられています。

プロ野球、Jリーグにくらべてまだ歴史が浅いBリーグに所属する川崎だからこそ、これほどアクティブにメディアを活用することが出来ていると言えるでしょう。これからどのような形に進化するのか非常に楽しみです。

まとめ

今回はスポーツ界の2大トレンド、アジアシフトとオウンドメディアについて紹介しました。皆さんも自分の好きなスポーツやチームで今回紹介したような動きが起きていないかチェックしてみてくださいね。