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大学におけるスポーツビジネスの学び方
進路選択に迷っている高校生、特に受験生の皆さん、スポーツ業界に興味はありませんか?部活やクラブでスポーツに打ち込んでいる人も多いと思います。プレイヤーとしてではなくても何らかの形でスポーツに携わりたいと思っている人もいるのではないでしょうか。
そこで今回ご紹介するのがスポーツビジネスという学問です。マネージャーやトレーナー、栄養士やアカデミーコーチなど、スポーツへの関わり方は非常に多岐にわたります。その中で、マーケティングやマネジメントの分野でスポーツに関わるための学問が「スポーツビジネス」です。
経営学部内の一つの学科としてスポーツマーケティング学科やスポーツマネジメント学科が設置されている大学もあれば、スポーツ科学部内にスポーツビジネスコースが設置されている大学もあるなど、多様な学部・学科体系があります。また、スポーツビジネスを専門としている専門学校もあります。
今回はスポーツビジネスを学ぶコース・学科の4年間の流れや貴重な経験が出来る演習授業、さらに卒業後の進路まで、その実態を徹底解説していきたいと思います。
スポーツ系の学部を進路の候補として考えている高校生や、「今は他の学部に所属しているけど、スポーツビジネス系の学科の授業が気になる!」という大学生におすすめの記事となっています。ぜひ最後までご覧ください。
はじめに
スポーツビジネス系の学部での4年間の大学生活の流れは他の学部とあまり変わりません。1年生の時からそれぞれのコースに所属するケースは少なく、学部全体(経営学部やスポーツ科学部など)で共通のカリキュラムを履修します。そして2年次からそれぞれのコース・学科に進むことが多いです。また大学卒業後、院にすすむ学生は少なく、大半の学生が就職します。
スポーツビジネス系の学部の特徴として、フィールドワークやインターンシップの機会が充実していることが挙げられます。授業の一環として、地元のスポーツイベントにボランティアやスタッフとして参加し、現場の動きや雰囲気を体感することができます。また、大学がプロスポーツクラブやスポーツメーカーと連携し、インターンシップの場を設けているケースも多く、中にはインターンシップ参加が単位取得の要件となっている場合もあります。
1,2年生次の授業
1,2年次は全学部共通の教養科目(英語、法律、経済など)を中心として履修します。どの学部も同じですが、学年が上がるにつれて授業の内容も専門的になり、より高度になるため一般教養の科目は1,2年生の時点で取り切っておく必要があります。
また、専門科目(スポーツマネジメント論、スポーツ経済学など)の基礎も併せて学習します。1,2年次は概論を中心とした基礎的な内容を扱うため、座学が中心となってきます。座学を退屈と感じる方も少なくないかもしれませんが、これらの科目は後の3,4年生次に開講される実習や演習の授業へと発展していくため、非常に大切になってきます。近年ではこの専門科目の種類も増加しており、eスポーツを取り扱う授業なども登場しています。
またビジネス以外にも、スポーツ生理学や栄養学、コーチング学などスポーツに関連した授業が選択必修科目となっているケースが多いです。これらの科目を通して、スポーツ自体に関する理解を深めていきます。
その他、大学によっては保健体育の教職免許を取得するための授業が開講されていることもあります。しかし、教職免許取得を目指す場合、他の学生と同じ授業を受け、その上に教職課程用の授業を履修する必要があるため非常に大変です。さらに4年次まで教職課程の授業は続くため、努力を継続する力が求められます。
3,4年次の授業
3,4年次には多くの学生がゼミに所属します。ゼミでは各研究室ごとに大まかなテーマが決められている中で、学生たちが詳細なテーマを決定し、主体的に議論を進めていく形式の少人数授業です。ゼミは少人数であるがゆえに機動力が高く、企業と共同で業務計画を作成するなど実践的な経験を積むことが出来ます。近年では大学の運動部の会計やマーケティングをスポーツビジネス系のゼミの学生が担うという形も増えており、非常に貴重な実務経験の場となっています。
また授業もより専門的になっており、フィールドワークや演習の授業も増えてきます。さらにはインターンシップも始まり、キャンパス外で活動することが徐々に多くなってきます。そして4年次には就職活動を行いながら、卒業論文にとりかかります。
実習例
スポーツビジネス系の学部では有名プロスポーツクラブやメーカーと協力した、貴重な経験を積むことができる実習授業が多く開講されています。どれも魅力的なものばかりです。ここではそのうちの一部を紹介します。
①大阪成蹊大学「企業等連携PBL(課題解決型学修)」
大阪成蹊大学の学外連携PBLでは関西を拠点に活動するプロスポーツクラブやスポーツメーカー、各自治体と連携し、授業を行っています。授業では初めに企業やクラブの方の講義を受けた後、提示された課題テーマをもとに調査実習を行い、最後に調査結果をもとに作成した企画を実際に提案します。また実習期間には実際に現場でスタッフとして会場運営などを体験し、スポーツ業界への理解を深めていきます。
ちなみに2022年度はオリックス・バファローズと「優勝効果を最大化するために、球団がとるべき施策を考える」、セレッソ大阪と「新しいシャレン!(社会貢献活動)の取り組みを考える」というテーマでそれぞれ課題解決学修に取り組みました。
試合内のイベントを考えるのではなく、企業が実際に直面している難しい課題に対して長い時間をかけて取り組んでいくこの授業はスポーツ業界だけではなく、他のどの業界でも活用できる貴重な経験です。
②中央大学「スポーツ・ビジネス・プログラム」
商学部のプログラム「スポーツ・ビジネス・プログラム」では毎年、学部単位やゼミ単位で様々なプログラムを実施しています。2022年度はサッカーJリーグ2部の「水戸ホーリーホック(以下:水戸)」と提携し、新しく水戸のホームタウンとなった県北部の6つの市町村での知名度向上に向けた企画を学生が考案し、クラブに提案しました。考案された企画の中で、クラブ側が実行したいと考えた企画もあり、プログラム終了後も学生の一部がクラブ関係者と共に企画実行に向けて携わっていくことが提案されました。
また、東京都府中市唯一の姉妹都市である長野県佐久穂町との交流を活性化させるために、商学部のゼミ生の企画で府中市民を対象としたファミリーキャンプ「サクキャン」が佐久穂町で開催されました。「サクキャン」ではソーセージ作り体験や魚釣り、BBQなど信州の自然を満喫できるアクティビティが実施され、非常に満足度の高いイベントとなりました。このイベントは収入を確保し、採算を成り立たせたという点で、学生がれっきとした一つのスポーツイベントを成功させたということが出来ます。
さらに中央大学商学部はドイツ・ブンデスリーガに所属するサッカーチーム「フォルトゥナ・デュッセルドルフ」と提携しました。これにより、学生は1週間ドイツに滞在し、プロサッカークラブの最先端の経営を学ぶことが出来るようになりました。さらに渡航の際には明治安田生命相互会社からの奨学金が給付されるようになっています。
このように中央大学ではプロスポーツだけではなく地方創生のためのスポーツなど、様々な場面でスポーツビジネスを体験することができます。さらにその実習の場は日本にとどまらず、海外で研修を受ける機会も用意されています。
まとめ
いかがでしたでしょうか
この記事ではスポーツビジネス系の学科の大学生活について解説した後、実際に行われている実習の事例を紹介しました。
学生でいながら、プロスポーツチームや企業の経営を肌で体感できる機会が多くあったことを実感することが出来たと思います。また、今回紹介しきれなかったプログラムの中で、全学部の学生を対象としたプログラムもありますので大学生の皆さんは是非自分の大学にそのようなプログラムがないかチェックしてみてください。
本サイトでは、インターンシップやスポーツ業界に関するコラムを多数公開しています。ぜひそちらも併せてご覧ください。
【参考記事】
大阪成蹊大学 スポーツマネジメント学科
https://univ.osaka-seikei.jp/department/management/sports-management/
中央大学 商学部 「スポーツ・ビジネス・プログラム」
https://www.chuo-u.ac.jp/academics/faculties/commerce/point/program/program_01/