スポーツ業界の市場規模からわかる業界の現状と未来

スポーツ業界の市場規模からわかる業界の現状と未来

投稿日:2023年5月19日 更新日:2023年7月12日

スポーツビジネス関連

「スポーツに関わる仕事がしたい」と考えている学生は多いでしょう。

ただ、一口にスポーツ業界といっても、そのなかには多くの職種が存在します。そのため、「全体像が見えず分かりにくい」「将来性はどうなのだろうか」と不安を抱える方や、そもそもスポーツ業界って何?といった疑問を持つ方も少なくないのではないでしょうか。

この記事では、スポーツ業界の現在の市場規模と、今後の市場規模拡大に向けた課題を解説していきます。

スポーツ業界(スポーツ産業)とは?

スポーツ業界とは、一言でいえばスポーツに何らかの形でかかわる事業のことを指します。

具体的には、トレーナーや栄養士・球団職員などプロスポーツやアスリートと関係が深い仕事、カメラマンやライターといった報道分野、スポーツ用品の製造や販売を行うメーカーや小売など、スポーツへの関わり方は非常に多様です。

それぞれの産業でのスポーツ関連ビジネス(一部)

  • 農業・林業:スポーツ用具の木材育成・芝生の育成 等
  • 建設業:スポーツ施設の建設 等
  • 製造業:スポーツ用品の製造 等
  • 情報通信業:スポーツ関連の報道・出版・番組制作・データ解析 等
  • 小売・卸売:スポーツ用品の輸出入・販売・リサイクル 等
  • 学術・専門業:インストラクター・選手マネジメント・栄養士 等
  • 飲食サービス業:スポーツバー・カフェ、スポーツ施設内や周辺での店舗運営 等
  • サービス(娯楽)業:プロスポーツチーム(リーグ)運営・イベント企画・マーケティング・スポーツツーリズム 等

スポーツ業界の市場規模

スポーツ大国・アメリカにおけるスポーツ業界の市場規模

スポーツ大国であるアメリカは最大50兆円を超える市場規模を有しており、日本の約4倍の数字です。

その要因としては、4大スポーツ(野球、アメフト、バスケ、アイスホッケー)に限らず、学生スポーツ、特に大学スポーツの盛り上がりが大きいです。

日本のスポーツ業界の市場規模

日本政府は、2025年までにスポーツ産業における市場規模を15兆円にまで拡大させるといった内容の「日本再興戦略2016」を打ち出しました。

https://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/pdf/2016_zentaihombun.pdf

市場規模という観点において、コロナウイルスの影響は計り知れません。そのため、コロナウイルスが日本で流行し始めた2020年を区切りにここ20年の市場規模の推移について確認してみましょう。

日本のスポーツ業界|市場規模の推移

コロナ前(2019年以前)

2002年からの10年間、日本のスポーツ業界の市場規模は緩やかな縮小を見せており、株式会社日本投資銀行の調査によると、2011年のスポーツ業界の市場規模は9.56兆円でした。

それに対して、コロナ禍前年の2019年には、市場規模は12.34兆円に増加しています。一年ごとに見ても2012年以降、毎年の増加傾向が確認できます。

コロナ後(2020年以降)

コロナウイルスの影響で、各プロスポーツは興行の中止や無観客での開催を余儀なくされました。

2020年以降の市場規模そのものの数字の算出はまだ行われていないため、市場規模の一項目であるスポーツ生産額の推移を参考にすると、コロナウイルスの影響から、2019年には約4.47兆円近くあったスポーツ生産額は2020年に約3.95兆円と約0.52兆円減少し、割合としては約11.6%減少しました。

しかし、2021年度には約4.28兆円と、コロナ禍以前の水準近くまで回復の傾向を見せており、多くのプロスポーツで観客制限が解除される2023年以降はコロナ禍以前と同様、もしくはそれ以上の水準を取り戻すのではないでしょうか。

おそらく、当初の政府の目標であった2025年での目標達成は厳しいと思われますが、2030までに市場規模15兆円の目標は達成されるでしょう。

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市場規模拡大の要因

コロナウイルスの影響を除くと、2012年以降ほぼ毎年スポーツ業界の市場規模は拡大しています。

ここからはその要因について解説していきます。

主要スポーツのプロ化を目指す動き

皆さんの中でも聞きなじみのあるであろうサッカーのプロリーグであるJリーグのほかに、ここ最近バスケットボールのBリーグ、バレーボールのVリーグ、卓球のTリーグなどの名前を聞く機会が増えたように思います。

厳密にこの中でプロリーグと定義できるのはBリーグのみですが、興行権をチームが持つ動きが進み、各スポーツのリーグ化が進んだことは、スポーツ市場の拡大に貢献したといえるでしょう。

WBC、W杯、五輪などスポーツの国際大会開催

大谷選手らメジャーリーガーの参戦もあり見事アメリカに勝利して優勝を飾ったWBCや、死の組と呼ばれたグループリーグを突破し、決勝トーナメントではクロアチアに敗れたものの大きな盛り上がりを見せ、ABEMAの全試合無料放映でも大きな話題を呼んだワールドカップなど、ほぼ毎年何かしらのスポーツで国際大会は開催されています。

大会の中で日本人・日本チームが活躍することで、日本全体で盛り上がりを見せたことによるスポーツへの投資の増加は、スポーツ市場の規模拡大に繋がりました。

また、世界では大会の開催に合わせて多くの人が移動することから、スポーツと観光を組み合わせたスポーツツーリズムの可能性が盛んに議論されています。今後日本が何らかの国際大会のホスト国を務めることがあれば、大きな市場拡大効果が期待できるのではないでしょうか。

eスポーツの普及

eスポーツとは、自分が体を動かすタイプのスポーツとは異なり、電子機器でのゲーム対戦をスポーツ化したものです。

ここ最近メディアで取り上げられる機会が増えてきたコンテンツで、ほかの体を動かすスポーツに比べて参加の敷居が低いことから、主に若年層で大きな盛り上がりを見せています。

これまでのスポーツと同様企業のサポートを受けるプロ選手が存在し、競技の解説をメインで行う職業も登場しています。

今後の市場規模拡大に向けた期待

ここまでスポーツ業界の市場規模が年々増加していることに触れてきました。

しかしここから市場が拡大し続けると決まっているわけではなく、今後も様々な策を講じる必要があります。

ここではそのうちいくつかの事例を紹介していきます。

スポーツベッティング

スポーツベッティングとは名前の通りあらゆるスポーツの結果に対して人がそれぞれ予想し、お金を賭ける(ベットする)ことで成立するギャンブルの一種です。

日本では競馬や競輪など一部の競技を除いて賭博罪で違法とされていますが、その一方で2018年にアメリカで一部の州を除き合法化されたことで、世界における市場規模は急拡大を見せています。

また、サイバーエージェントの試算によると、日本で合法化された場合の市場効果は7兆円にも上るそうです。

適切なルールの整備やギャンブル依存症への対策など課題は山積みですが、可能性を秘めたコンテンツであることは間違いないため、今後の日本政府の対応に注目です。

PPV放送

PPV(ペー・パー・ビュー)放送とは、コンテンツに対してその都度お金を支払うことで視聴可能になるシステムのことです。

コロナウイルスの影響で様々な観客動員型のイベントが中止になった代わりに、オンラインでのライブ配信を利用した方は多いのではないでしょうか。

それに合わせて、それまでは無料で誰でも見れるテレビ放送が人々の主流であったことから日本では敬遠されがちであったPPV放送が人々の間に広がりを見せています。

その一方で、安定した配信環境の整備やサービス競争の激化、有料化によるコンテンツのコア化など、完全なテレビ配信からの移行にはたくさんの課題が残っているため、しばらくは共存する形が続きそうです。

アマチュア競技のプロ化

先ほどは主要スポーツのプロ化が進んでいるとしましたが、どのスポーツも完全なプロ化にむけては様々な障壁が存在します。

そもそもプロ化とは、「興行権を含め、お金の運用を中心とした意思決定がその組織の中で独立して行われている状態」を指します。

日本の場合、チームを持つ親会社や、メインスポンサーの影響力が強いため、それぞれの企業の顔色を窺ったチーム運営を強いられ、本当の意味でのプロ化には至ってないケースが多数です。

また、プロ化によって選手は企業との雇用契約から外れるため、現役引退後の生活に苦しむケースも想起できることからも、プロ化そのものに反対のチームも存在します。

市場規模の観点からは独立したチーム運営は利益面でも重要ですが、このように様々な問題点が残っています。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

ここまでスポーツ業界の市場規模について解説してきました。

スポーツ業界はいくつか課題はあるものの、今後の成長も期待できる業界だといえるでしょう。

当サイトではスポーツインターンを中心に、様々なコラムを掲載しています。スポーツ業界に関心がある方は他の記事もぜひご覧になってください。

 

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