【徹底比較】日本のスポーツビジネスの市場規模は?海外と比べてどう?

【徹底比較】日本のスポーツビジネスの市場規模は?海外と比べてどう?

投稿日:2024年3月21日 更新日:2024年3月21日

コラム
スポーツビジネス関連

この記事をご覧の皆さんは、「スポーツビジネス」という言葉にどれほど理解があるでしょうか。名前は聞いたことはあるという方は多いと思いますが、実際にスポーツビジネスの事例やその市場規模までご存じの方は少ないと思います。

今回の記事では、コロナから回復し今現在注目を集めているスポーツビジネスの日本における市場規模について詳しく解説していこうと思います。ぜひ最後までご覧ください。

スポーツビジネスってなに?

スポーツビジネスが持つ市場規模について考える前に、まずスポーツビジネスの定義について確認しておきたいと思います。

スポーツビジネスとは、言葉の通りスポーツコンテンツを使って収益を獲得するビジネス形態のことを指します。

みなさんがイメージするプロチームの試合から、スポーツ報道やグッズの販売などその種類は多岐にわたります。また、ここ最近では「スポーツ×◯◯」という形で他産業とスポーツが一体となってビジネスを展開する例が増えています。

スポーツビジネスの具体的事例については以下記事を参照ください。

【30選】2023年のスポーツビジネスにおける最新事例

スポーツビジネスの市場規模

続いては当記事の本題である、スポーツビジネスの市場規模についてご紹介します。

直近2022年のスポーツ産業の市場規模は約5.5兆円とされ、コロナ以前の水準にはまだ戻っておりません。スポーツ庁では2025年までに市場規模を15兆円にするという目標を掲げていますが、現状厳しい数字となっています。2023年以降、コロナからの回復を経て大規模スポーツイベントが多く開催されていることから、今後の伸びに期待できるでしょう。

市場規模15兆円の目標達成のため必要なこととは?

では、15兆円という目標達成において今後日本スポーツ界が取り組まなければならない課題とは何なのでしょうか。同じくスポーツビジネスに力を入れているアメリカを例に見てみると、アメリカのスポーツビジネス市場規模は60億円とされており、人口の差を考えても日本のスポーツビジネスにはまだまだ差があると思われます。ここからはアメリカ含め海外と日本のスポーツビジネスについて比較していきたいと思います。

①スポーツ市場が国内限定となっている場合が多い

市場規模拡大のためには、日本のスポーツコンテンツを国内限定に留めず、海外に発信していく必要がありますが、現状日本では満足に行われていません。

代表的な例として、日米双方で人気のある野球を代表に考えてみます。アメリカのメジャーリーグは海外進出に積極的で、開幕戦を国外で開催したり、放映権を積極的に海外に販売したりなど国外にマーケットを展開する動きが見られます。実際に、今季大谷翔平選手、山本由伸選手らが所属するドジャースとダルビッシュ有選手、松井裕樹選手らが所属するパドレスの開幕戦は韓国で行われます。またネット上での配信もSPOTV NOWやABEMATVなど海外向けにも充実しており、MLBの放映権収入は年20億ドル近い数字となっています。

対して日本のNPBは国内では大きな人気を誇りますが、海外展開には消極的と言わざるを得ません。NPBでは海外での試合開催の歴史はほとんどなく、戦前にいくつかの試合を満州で行ったり、戦後アメリカの占領下であった沖縄で試合をした例がある他、最後に海外で試合が行われたのは2002年5月14・15日に台湾(中華民国)の台北市で福岡ダイエーホークス対オリックス・ブルーウェーブの試合が行わたのが最後です。またオンライン上でもNPBは公式の英語アカウントを持たず、海外への発信については現状ほぼ行われていないと言えます。日本プロ野球には鳴り物応援など独自の文化があり、海外の野球ファンにとっても魅力的な要素は多いです。12球団が一致団結し、アジアやアメリカの野球ファンを取り込み市場規模拡大を目指して海外展開を進めていく必要があるでしょう。

②専門的なビジネススキルを持つ人材の不足

続いてはスポーツをビジネス視点で考えるうえで、なくてはならないビジネスマンの不足です。スポーツエンターテイメントは立派なビジネス活動であることから、ビジネス的観点は必ず必要となっています。具体的に言うと、スポーツは現状日本の各スポーツチームには現役を終えたプロ選手や、親会社からの出向としての社員が多く存在し、プロのビジネスマンと呼べる人は決して多くありません。またスポーツそのものが「部活の延長」としての位置づけに過ぎず、スポーツを使って収益を稼ぐという意識が弱いのが現状です。

一方アメリカでは法律とビジネスに精通し、各企業を渡り歩いてきたビジネスマンが各プロチームの代表を担うことが多く、自チームの持つネーミングライツや商標権を使ったビジネスモデルを構築しています。

ビジネススキルを持つ人材をスポーツ界に招き、スポーツをお金を稼ぐエンターテインメントとして発展させていくことが今後のスポーツビジネスの市場規模拡大のためには大切と言えるでしょう。

③「スポーツ×他産業」の推進

スポーツは出自問わず多くの人に影響を与えるコンテンツです。ひとたび平日に試合を行なえば数千人~数万人の人が動きますし、ネット上でも試合のたびにトレンドを独占する影響力を持ちます。アメリカ含む海外ではこれらスポーツの持つ潜在能力と、他産業の視点を掛け合わせることで新たなサービス展開が生まれています。今回はそんなアメリカのスポーツビジネスについて2つ例を紹介します。

・ファンタジースポーツ

ファンタジースポーツとは、プロスポーツチームに在籍する選手を集めたドリームチームをネット上で作成し、選出した選手のリアルでの活躍度合いをポイント化して競う海外で人気のシミュレーションゲームです。北米を中心に盛んにおこなわれ、野球・アメフト・バスケといったアメリカで人気のプロスポーツリーグが舞台になっています。

海外のファンは選手の活躍をデータとして集め、統計学などと組み合わせながらスポーツ観戦を行う傾向にあり、野球のセイバーメトリクスなどが代表例です。そんなデータ好きのファンにとって、チームの壁を超えて自分自身が評価する選手を集め、チームの監督としてふるまえる当ゲームは彼らにとってニーズに合ったゲームだと言えます。また賞金制を導入し、実際にゲームでの成績を通じてお金を稼ぐことができる点も海外ファンが熱狂する理由の一つでしょう。

ファンタジースポーツの盛況は、スポーツ業界側にも大きなメリットをもたらします。スポーツをエンタメ視点で見た場合、最大の弱点として試合内容をコントロールできないことから、試合自体の価値はやってみないとわからない不安定性を持ちます。多くの野球ファンは贔屓チームが10-0で負けていたら観戦をやめてしまうでしょう。ただし、ファンタジースポーツのユーザーであれば自身が選出した選手の活躍度合いが重要であるため最後まで自身のドリームチームに所属する選手の活躍を見届けることから、スポーツ業界側にもメリットがあります。

日本の場合、賞金制は賭博行為に当たることから海外のファンタジースポーツは現状楽しむことができませんが、競馬同様データを用いた分析要素の強い当サービスの賞金制が合法化されれば、大きなブームを生むのではないでしょうか。

・スポーツ×観光

多くの人が一堂に集うスポーツと観光・ツアーはとても相性が良く、海外ではスポーツ観戦ツアーが多く存在します。アメリカでは大谷翔平が所属していた(~2023年)ロサンゼルス・エンジェルスの観戦チケット付きの観光ツアーなど、海外のスポーツファン向けのツアーを企画開催しています。アメリカの場合、野球・アメフト・バスケ・アイスホッケーの四大スポーツはどれも多くの海外ファンを抱えることからこれらツアーが企画しやすいという面はありますが、スポーツ産業と観光業を組み合わせた、双方にメリットのあるコラボレーション企画となっています。

日本の場合、今後の新たな市場として東南アジア方が注目されています。具体的には、2023年にインドネシアで日本企業の出資を受け野球のプロ球団が発足。発足した球団は、インドネシアのほかフィリピンとスリランカの選手、合わせて22人で構成され、2025年から佐賀を本拠地に九州の独立リーグに参加する予定となっています。インドネシアは人口2.7億人と世界四位の数字を誇ることから、今後インドネシア出身のNPB選手が誕生すればインドネシアからのインバウンドが期待できます。また、それら新規市場開拓と並行してスポーツの発展とツーリズムとの連携を強化していく必要があるでしょう。

まとめ

いかがだったでしょうか。日本のスポーツには古くからの歴史があり、国内では人気のプロスポーツがいくつも存在します。その一方でスポーツをビジネス的視点で考える意識は現状低く、市場規模の観点ではアメリカら海外市場とは大きな差をつけられてしまっています。

また、今後の市場規模拡大に向けて「スポーツ×テクノロジー」と「スポーツ×観光」の二つの取り組みを紹介しました。今後のスポーツビジネスの発展にも要注目です。そんなスポーツに関わる仕事をしてみたいという方はぜひ当サイトのコラム記事や、スポーツ関連企業のインターン情報をご覧ください。

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