【実例あり】スポーツビジネスにおけるスポンサーを解説

【実例あり】スポーツビジネスにおけるスポンサーを解説

投稿日:2024年1月15日 更新日:2024年2月6日

コラム
スポーツビジネス関連

スポーツをスタジアムやアリーナで観戦しているとき、またはテレビ・インターネットを通して見ていると、「スポンサー」という言葉を聞く機会があると思います。もしくは、プロスポーツ選手のユニフォームやピッチ、コートの周辺に様々な企業ロゴがあるのを見たことがあるのではないでしょうか。

スポンサーとは、特定のイベントや団体、個人に対して資金や物品を提供し、その活動を支援する企業のことです。それら企業は、支援の見返りとして広告や宣伝効果を得ることができます。プロスポーツチームやスポーツを運営する組織または企業にとって、これらスポンサーは欠かすことのできない存在となっています。

ここでは、スポーツビジネスにおけるスポンサーの存在と、企業がスポーツのスポンサーとなる理由について解説していきます。

スポンサーの存在意義

先述の通り、スポーツを観戦していると様々な企業ロゴを見ることができます。スポーツやスポーツビジネスは、このスポンサーという存在なしには成り立たないとも言えます。特にオリンピックのような国際大会や、Jリーグのような国内トップリーグには多くの企業が協賛し、運営の手伝いをしています。プロスポーツクラブや大会を運営する組織にとって、スポンサーは運営において必要不可欠な存在となっているのです。

スポンサーシップ(スポンサー)の仕組み

スタジアムやアリーナでスポーツ観戦をしていると、試合の合間に協賛企業の紹介が行われたり、テレビなどでスポーツ中継を観ていると、中継の合間などで「私たちは〇〇日本代表を応援しています」というようなCMが流れることがあります。こうした企業は一般的に「スポンサー」と呼ばれ、スポーツを利用することで企業の認知度向上やより多くの商品を購入して販売促進を目的としています。これらスポンサーは、お金を払わずに自社を紹介をしてもらったり、CMを放送したりすることはできないため、「自社の商品やサービスを宣伝する権利」を買っています。つまり、各企業はスポンサーシップの権利を購入することによって、アクティベーションを実施します。そのため、スポンサーシップ(協賛)とアクティベーション(権利活用)を、併せて考える必要があります。

それでは、どのようにすることでスポンサーシップを活用できるのでしょうか。

企業がスポーツのスポンサーとなる目的

スポーツのスポンサーとなる場合、企業は巨額の出費を伴います。巨額の支払いが求められるにもかかわらず、企業がスポンサーとなるのは明確な目的があるからに他なりません。では、企業はどのような目的でスポーツのスポンサーとなることを決定するのでしょうか。

広告宣伝として

企業がスポンサーとなる目的の1つは、自社を宣伝するためにスポーツのスポンサーとなることです。

具体例として、オリンピックのスポンサーを務めたコカ・コーラ社があります。コカ・コーラ社は、オリンピックのメインスポンサーを務めることで、世界中のスポーツ観戦者に対して認知の拡大を果たし、売り上げ上昇につなげました。広告宣伝を目的とする場合は個人であれば有名なトップアスリート、大会であればオリンピックやワールドカップといった大規模な大会のスポンサーを務めれば、より大きい広告効果を得れるでしょう。

CSR活動の一環として

近年では、企業は利益を追求するだけでなく、社会的貢献が求められるようになりました。SDGsに対する取り組みが叫ばれていることもあり、環境保全や持続可能な活動をアピールする企業が増加しています。つまり、宣伝のみを目的としてではなく、CSR活動(企業の社会的責任を果たすための活動)の一環として、スポーツのスポンサーとなる企業が増加しています。例えば、企業が位置する地域のスポーツチームのスポンサーとなり、地域の子供たちとの接点を持たせるというような地域密着型の社会貢献活動への協賛などが考えられます。

スポーツのスポンサーになることで得られるメリット

企業の認知度の向上

多くの観客が会場に集まり、複数のメディアによって扱われるスポーツにおいては、新規ユーザー獲得効果は大きいです。特に、まだ名前が知られていないベンチャー企業などは、名前を知ってもらいたいという目的でスポンサーとなることも多くあります。

企業の売り上げの向上

選手のユニフォームや会場の看板などを見ると、企業の主力商品名が記載されているのを見ることができます。スポーツは多く人々に親しまれるものであり、スポンサーシップを通じて企業は幅の広い顧客層に製品やサービスをアピールする機会とすることができます。また、観戦者やイベント参加者は、スポンサーシップの行っている企業の商品に関心を持つ可能性があります。そのため、スポーツのスポンサーシップは新商品の売上向上など、売上面での効果も期待できます。

企業の社会的好感度・ブランディングの向上

企業のブランド価値向上は広告キャンペーンを実施したり、メディアの露出を増やしたりするだけでは、達成することはできません。スポーツの場合、クリーンで明るいイメージがあるため、スポーツチームや選手のスポンサーを務めることで、社会的好感度・ブランディングの向上につながりやすいというメリットもあります。

また、現在はJリーグやBリーグに所属するチームなど、スポーツ界全体として社会貢献活動に力を入れる流れが生まれています。スポーツチームのスポンサーを務め、これら地域貢献活動に協賛することで、会社のイメージアップを図れるでしょう。

スポンサーシップのアクティベーション事例

Budweiser W杯直前のピンチを新たなPRの機会に

カタールで開催された2022FIFAワールドカップ、この露出効果の高い大会には複数の企業が巨額のスポンサー金額を支払うことで公式スポンサーとなっています。しかし、大会開幕直前になって大事件が発生しました。

今回も多くの人々がビールを飲みながらのスポーツ観戦を楽しみにしていました。一方で、カタールは敬虔なイスラム教の国家であるため、普段はアルコールを飲める場所が限られています。そのため、心配する声が上がっていましたが、当初、主催者のFIFAはスタジアム内で飲酒が認められるとしていました。しかし、大会開催の2日前になってFIFAは基本的にスタジアム内でのアルコールの販売を禁止すると通達しました。大半のファンが試合中にビールを飲むことができなくなったことにより、公式ビールスポンサーであったBudweiserはこのままでは大きな損失を生み出してしまいます。

このFIFAによる急転直下の方針変更に対して、Budweiserを販売するAnheuser Busch InBevは、不満を表明するのではなく、新たなPRの機会としました。同社は、公式SNSに販売不可となった山積みのビールの写真とともに、「勝者はBudweiserを得る。どの国が獲得するのか」とのメッセージを投稿しました。さらに優勝チームの地元にビールを運んで祝賀イベントを開催する計画を明らかにしました。

ビールの販売機会を失ったことに対して、抗議ではなく機転を利かして新たな施策を打ち出すことで、Budweiserはこの一連の騒動で新たなビジネスチャンスを生み出す結果となりました。これによって、多くのファンに対して、ブランドイメージの向上を図ることができたと考えられます。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

スポンサーの存在はプロスポーツチームやスポーツを運営する組織にとってを欠かすことのできない存在となっています。

「スポーツに関わる仕事をしたい」とお考えの皆さんにとって、上記のようなビジネスを知ることは非常に貴重な経験となります。

本サイトでは、インターンシップやスポーツ業界に関するコラムを多数公開しています。ぜひそちらも併せてご覧ください。

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